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ビロードのうさぎ The Velveteen Rabbit

2008/ 04/ 04
                 
ビロードのうさぎ水曜日、夫が暫定的に(って?)だけどレッスンが終わるのが早くなったという。で、娘のお迎えに行ってくれた。
ところで3月にJRのダイヤ改正があり、帰りに上尾に着くのが少し遅くなってしまった。うぐう。
            

今までは
理想:池袋18:45発(埼京線)→赤羽18:57分発→上尾に19時20分台着
現実→池袋18:54分発(湘南新宿ライン)→上尾に19時30分台着
だった。この「理想」のほうに乗るには会社をさっと出て、ダッシュで池袋へ行かなきゃならない。
それがダイヤ改正後は
理想:池袋18:46発(埼京線)→赤羽18:57分発→上尾に19時20分台着
現実→池袋19:00分発(湘南新宿ライン)→上尾に19時40分台着
「理想」のほうは、池袋発が1分遅くなったものの、その分赤羽での乗り換えが1分短くなったわけだ。階段に近いドア、しかもすぐ出られる位置に陣取り、ダッシュで階段を降りてエスカレーターをかけ昇る(エスカレーターで走ってはいけません。ごめんなさい)。ふはあ。
しかしこれは「理想」だから、ほとんどは「現実」のほうになってしまうのだが、池袋19:00発って…。それでも前「現実」から、まあ、6分程度遅くなったぐらいじゃん…と思うなかれ。この6分のせいで、以前は上尾駅でおこなわれていた特急の通過待ちが、宮原でされることに。ぐげー。そういうわけで、今までよりも10分ぐらい遅い上尾着。ぶーぶーぶー。
ま、ダッシュで「理想」バージョンに乗り迎えに行ったら、むくれた娘が出てきて、「テレビ見てたのに!」とか本気で(?)言ってたから…いっか。

そういうわけで水曜日。この日は「理想」のほうに乗れた上に、娘のお迎えは夫が言ってくれるというものだから、私は図書館の駅前分館に、予約しっぱなしだった本を借りに行った。それはホフマンの「くるみ割り人形」なのだが、受けとったあと、せっかく来たのだからと本棚に近づいてみる。
分館ではカウンターのある1階は絵本コーナーだ。表紙がむいている絵本をざっと見ていると、目にとまったのは「ビロードのうさぎ」
ああ、これ知ってる知ってる…って、話を知っているわけではなくて、酒井駒子さんが挿絵を描いているのだ。酒井本を立て続けに読んでいた時期があって、この本の存在は知っていたが、まだ読んでいなかった。

「ビロードのうさぎ」マージェリィ W.ビアンコ作、酒井 駒子絵

ビロードのうさぎ…The Velveteen Rabbit。ん? ヴェルヴェティーン・ラビット? 持ってるよ。

「ヴェルヴェティーン・ラビット」ジョージ・ウィンストン メリル・ストリープ

「さだこと千羽鶴」が朗読+ジョージ・ウィンストンの音楽だったが、これもそのタイプだ。しかも朗読はメリル・ストリープ。ほほう。…で、実は以前に買ってあったのだった。ジョージ・ウィンストンのアルバムはすべて買うようにしているから、「あ、これまだ持ってない」という軽い気持ちで。
やはり同じ話でした。
作者のマージェリィ・W・ビアンコは、1881年ロンドン生まれ。この「ヴェルヴェティーン・ラビット」の初版は1922年。もう80年以上ものあいだ世界中で読み継がれている物語。のわりに、日本ではあまり知られていないのではないか? 私もこのCDを買うまで知らなかった。

酒井さん画の「ビロードのうさぎ」を読んでみる。
これは…いやあ、切ない話だ。まったく。
酒井さんが描く子どもは、あいかわらず本当にかわいらしい。プクプクのほっぺ、ビロードのうさぎをつかむ小さな手。
高価な機械仕掛けのおもちゃが、安っぽいビロードのうさぎに「自分こそ本物だ」と自慢する。一番古くてボロボロで、そして賢そうな馬のおもちゃに、うさぎは尋ねる。「本物ってどいうこと?」
「ほんものというのはね、ながいあいだに
子どもの ほんとうの ともだちになった
おもちゃが なるものだのだ。
ただ あそぶだけではなく、こころから たいせつに
だいじにおもわれた おもちゃは ほんとうのものになる。
たとえ そのころには ふるくなって
ボロボロになっていたとしてもね。
おまえさんだって そうなるかも しれないよ。
子どもべやには ときどき まほうが おこる ものなのだ」

その後、ぼうやが病気になり、快復と同時に子ども部屋のおもちゃや絵本は焼却処分されることになる。もちろん、ビロードのうさぎも。
ゴミ袋から顔を出して、震えてうさぎ。「あんなに楽しかったのに…こんなふうに終わりがくるなんて…」
そして魔法が、奇跡がおこるのだった。
妖精にかかえられているうさぎ。緑色の目、丸くてふわふわ。

ナイスです。素敵なお話、そしてぴったりの酒井さんの絵。

ヴェルヴェティーン・ラビットCDのほう…メリル・ストリープもナイスだが、私は英語がわからないから…。で、音楽はというと、前16曲。うち、数曲は既存のアルバムからの抜粋だった。

クリスマス
ビロードのうさぎは、クリスマスの日、ヒイラギの葉と一緒に靴下に入っていた。
曲は「ディセンバー」より「キャロル・オブ・ザ・ベルズ」。元曲はウクライナの伝統的なクリスマス・キャロル。

おもちゃの世界
機械仕掛けのおもちゃたちは、自分こそが本物だという。ビロードのうさぎは、自分がとてもありきたりでつまらないものだと思うようになり、萎縮してしまう。
曲は「フォレスト」より「五木の子守歌」。

ラビット・ダンス
夏の日、ビロードのうさぎは飛んだり跳ねたり、自分にはできない動きをするうさぎ…つまり本物のうさぎに出会う。
曲は「フォレスト」より「カラマツ」

ひとりぼっち
動くうさぎは去って行ってしまった。
曲は「オータム」より「月」

さみしい思い
ビロードうさぎは他のおもちゃや本と一緒に、ゴミ袋に放り込まれてしまう。
曲は「ディセンバー」より「サンクスギヴィング」


私が一番好きなアルバム「サマー」の曲は入っていなかったが、この物語にぴったりだと思う。坊やが「この子はおもちゃじゃないの! ほんもののうさぎなの!」と言い、ビロードのうさぎが自分は本物になれたのだと実感した夏の日。
でも酒井さんの絵とジョージ・ウィンストンの音楽というのは、ちょっと意外な組み合わせになる気もする。ジョージ・ウィンストンの音楽は透明でキラキラしているイメージ(→安直な考えなんですけど…。音自体が鋭い感じなんですよね。キーン!と)。ちなみに、CDのジャケットでイラストを描いているのはDavid Jorgensenという人のようだ。彼のイラストの本がちゃんと出ている。洋書でしか見つけられなかったが。
「The Velveteen Rabbit」Margery Williams作 David Jorgensen絵
酒井さんの絵は…これってどうやって描いてるんだろう? いつも黒がかすれたように入っているが、黒地のキャンバスか画用紙に描いているのだろうか? 「透明でキラキラ」とは違うような。

それでも私の中で、こんなふうにジョージ・ウィンストンと酒井駒子…好きなものどうしがつながった。ふふふ。

            
                                  

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